足底装具(インソール)とは、「靴の中に装着し、足部または下肢運動連鎖における病的ストレス(骨の構造的異常や配列の異常、ショック吸収能力の欠如など)を減少または取り除くもの」と定義されます。
足の構造異常・配列異常は一般的に「後足部内反(※1)、後足部外反(※2)、前足部内反、前足部外反、脛骨内反」の5つが存在します。
原因として、
の3つが考えられます。完全に正常な足というのはほとんどありませんし、これらが必ずしも異常というわけではありませんが、様々な障害の原因になる可能性があります。これらを補正することで、すでに故障した足、さらには潜在的に故障の予備軍であった足を正常な状態へと導きます。また、距骨下関節 を正常な位置に戻し、アライメント(骨や関節の並び方)が整った状態にします。
足は単独で動くのではなく、膝、股関節、体幹と連動して動きます。一見何気ない「歩く」という動作の中で、足は非常に多くの役割を果たします。この足に異常が発生すると、その異常は上の部分へと連鎖していきます。これを食い止めるのがインソールの役割です。
足は、歩いたり走ったりするときに体重を支えて身体を前方へ移動するだけではなく、同時に衝撃吸収もしなければなりません。足に衝撃吸収能力がなくなれば、身体の各関節(膝、股関節、腰椎 など)の痛みだけではなく、頭痛の原因にもなりえます。この足の衝撃吸収能力を高め、さらにインソールが衝撃吸収能力を持っているため、足の機能を補います。
スポーツ傷害や使いすぎによる足の障害は、安静が治療の第一選択となることがよくあります。インソールは足の関節の動きを制限し、安静を保つ機能があります。
靴と足の間に起こる摩擦が大きくなると靴ずれになります。インソールは靴と足の隙間を埋め、靴によって起こるトラブルを解消します。また、足の変形が大きい場合は靴を作るほうがいい場合があります。
局所的に疼痛がある症例では、その部分への荷重を減少することによって疼痛を和らげます。
インソールを分類するのはとても困難です。
構造から分類すれば、「RIGID」・「SEMIRIGID」・「SOFT」 の3タイプ、
目的から分類すれば、治療用・予防用・パフォーマンス向上用になるでしょうか。
パフォーマンス向上と言っても、本当の意味でのパフォーマンス向上、つまりそのインソールを履けば、例えば100mを8秒で走れるといったものではありません。潜在的に持つ能力を引き出す、あるいは疼痛を軽減することによって全力で競技ができるという程度です。
弊社で製作するインソールはすべてオーダーメイドです。スポーツ用、積み上げ式、アルミ製、室内用、CADCAM 式など、疾患や使用状況に合わせて素材を選定し、製作を行います。
一般的に扁平足は年齢によって3タイプに分けられます。その年齢・症状に合わせたインソールを製作します。アスリートの場合は競技に応じて特殊なインソールを製作します。現在までに大学サッカー部、大学ラグビー部、高校バスケ部、プロスポーツ選手などを手がけてきました。
昔は“扁平足=運動ができない”といわれることが多かったのですが、超一流の選手でも扁平足の人が多く見られ、最近は見直されてきているようです。足の裏全体で柔軟に地面を捉え、余すことなくパワーを伝えることができる点が優れているといわれます。私たちは、扁平足のアスリートに対して扁平足を無理に矯正することはしません。蹴り出しのパワーを十分に発揮できない足に対しての補助を行い、フルパワーの発揮と足の疲れを軽減することを目的とします。
外的要因として真っ先に挙げられるのは靴の問題です。靴の指導、そして症状の進行を止めることを目的として製作します。外反母趾にとって一番よくないのはハイヒールだといわれます。私たちは、ハイヒールを履く女性のためのインソール製作、さらに、ハイヒールの改造を行っています。
日本人に多い内反膝(O脚)変形に対しては、足の状態を見極めた上で、外側を少し高くしたouter wedgeを製作します。
スポーツ選手に多く見られます。動きの見直し、そしてそれに対応したインソールを製作します。足部の過回内(※1) に対しては、これを補正するインソールを製作します。骨折の急性期(※2) は固定・安静が重要となります。
ここですべてを紹介することはできませんが、シンスプリント(※1) や腸脛靭帯炎
(※2) 、アキレス腱炎(※3) など、足だけではなく下腿や膝の障害に対してもインソールがその効果を発揮します。しかし、すべての人に対して同じ効果があるわけではありませんし、インソールですべてが解決できるわけではありません。医師、トレーナーの方々と相談しながら適度な運動やリハビリを行うことが大切です。
私たちにとってインソールはあまり得意とする分野ではありませんでした。だからこそ、より一層の研究を重ねてきました。その成果として、スポーツ選手に対してはRS-scanを用いた歩行分析を行い、インソールの構造・仕様を決定することにしました。提携大学のサッカー部では、故障者の8割以上が当社のインソールを使用し、復帰を果たしています。
また、インソール製作の機械化を進め、今ではCADCAMでの製作を中心としています。これにより、患者さんのニーズにより一層正確に応えることが可能となりました。