外反母趾
母趾の付け根の内側が、30歳頃より徐々に痛くなった。ハイヒールを履いていたせいだと思う。今では普通の靴を履いても痛い。
母趾が、MTP関節で外反して「く」の字状に曲がり、MTP関節の内側が靴に当たって痛む、女性に9:1と多く、女性、遺伝、ハイヒールが三大原因である。ハイヒールを履き始める20歳前半から好発し、家庭に入ってハイヒールを履かなくなると、変形は治らないが疼痛は治まる。しかし、中等度以上の外反母趾は、その後、歩くだけで変形が進行し、中年になってからは普通の靴でも当たって痛むようになる。
初めは、母趾の外反と第1中足骨の内反だけだが、徐々に前足部の横アーチがつぶれ、MTP関節部での足幅が広がり、開張足となり、内反小趾も合併する。進行すると、母趾は第2趾の下にもぐり込み、第2趾は槌(ハンマー)趾となり、中足骨骨頭部足底部には有痛性胼胝ができ、最後にはMTP関節が病的脱臼する。
治療には、靴の指導や改良、理学・運動療法や装具による保存療法,薬剤やパッチ類による対症療法や、手術がある。
外反母趾に限らず、足の疾患では、靴の指導が第一にされねばならない。外反母趾ではヒールは3cmまでで、先端が広く内側に振れており、中で趾を動かせる靴を選ぶ。疼痛部は革を伸ばして広げる。
装具には、母趾と第2趾の間に挟む三角形のセパレーターや、バネや伸縮性繊維で母趾を引っ張る種々の装具がある。拘縮除去や進行を遅らす効果はあるが、一度生じた変形を、阻止し回復させるまでの効果はない。
疼痛があり、外反母趾角(HV角)が30度、中足骨間角(IM角)が15度を超えれば、手術適応もある。中等度までは中足骨の抹消部、重症では基部で第1中足骨の骨切り術を行う。
(参考文献:足のクリニック)